• コンセプト
  • ストックアイテム
  • ギャラリー
  • 注文販売
  • アフターケア
  • コンタクト
  • トピックス
  • ブログ
Topics 04
2012.07.29
1940's~1960'sに見られるUSインポートスタンプ
"謎の刻印"
今回のTopicsは、ムーブメントに刻印されたある記号につて書いてみたいと思います。
ケースを開けてご自分でムーブメント見るコレクターの方はそう多くはいらっしゃらないと思いますが、ネットには画像が沢山落ちていますし、非常に綺麗な画像を撮影されるプロの方やセミプロの方も多くいます。
Vintage PATEK PHILIPPEの歴史の中でも充実した時期であったであろう1940年代から1950年代の時計のムーブメントにはある刻印(スタンプ)が刻まれていることをご存じでしょうか?
"時代背景"
1940年代から1960年代にかけてアメリカの税関を通って輸入される時計に3レターの記号が刻印されていました。現在に至るまでケースとムーブメントを別々に輸出することは普通に行われています。多くはその手法をとることで、完成品の時計よりも関税が安くなることを狙ったものです。恐らく多くが貴金属であったケースでは画像通いであったのに対し、ムーブメント単体では、生産国から送られたINVOICEとの照合が困難だったのではないでしょうか。アメリカ市場向けの製品であることをメーカーに識別させる、一種の輸入障壁の意味もあったのかもしれません。
PATEK PHILIPEは"PXP"と"HOX"の2種類を識別記号として割り当てられていました。
#
左:1950年代製造のRef.565 右:刻印はテンプブリッジに"HOX"
#
左:1940年代製造のRef.565SC 右:刻印はテンプブリッジに"PXP"
"2つのコード"
2つの記号がどの様に使い分けられていたかは今のところ不明で、今後の研究課題かもしれません。手元にある他のサンプル(1940's)では"H.O.X."とピリオドが入ったものも見られます。1960年代製造の別の個体にも"HOX"刻印を確認しています。
不思議なことに40年代のサンプルではしっかりとした刻印に金入れが施されており、明らかに製造段階でコードが入れられていますが、50~60年代では後から刻印されたようにも見え、金入れも施されていません。
50年代以降、アメリカが巨大な市場になっていく状況のなかで生産量も飛躍的に増えたためこの様なことが起きたのかもしれません。
上記40年代のサンプルは極めてレアなモデルであり、恐らくオーダーベースで製造されたため、識別コードにも金入れがされたというのは飛躍しすぎでしょうか。
"その他のブランド"
また、いくつかのスイス製の腕時計のブランドがそれぞれ異なったコードを割り当てられていたことも明らかになっています。
Vacheron Constantinは"VXN"を使用し、Audemars Piguetは "AYP”を、Rolexでは"ROW"となっていました。
2012.07.30 改訂